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この数日、とてもパリとは思えない酷暑が続いてる。
パリで36℃なんてあり得なーい!(と思うけど、これは現実)。
こんな日は、エスニック料理がやたら美味いので、そうめんで「カノムチン」とした。
真夏のカレーそうめん(カノムチン)_f0363883_04201647.jpg
「カノムチン」とは、タイの屋台でよく見かけるタイ風のカレーぶっかけ麺。
レッドカレー、グリーンカレーなど、お店によって異なるものの、そうめんそっくりの麺にタイカレーをぶっかけて、
お好みで高菜やら玉子やら茹でた野菜やらをトッピングして食べます。
日本のそうめんにそっくりですが、この麺こそが「カノムチン」。そうめんは小麦粉から作られますが、
カノムチンは米粉から作られる。タイ語で「カノム」はお菓子、「チン」は中国人を意味しますが、
「中国人は小腹がすいたとき、お菓子代わりに米粉麺を食べる」ので「カノムチン」と呼ばれるようになったとか。

この料理、中国人に限らずタイ人も大好きな料理の一つで、タイ全土で食される国民食でもある。
地方によっても、料理する人によってもレシピは様々ですが、魚のレッドカレーのカノムチンが最もトラディショナルと
言われるので、今回はタラとエビを使って大根入りレッドカレーにしました。
本来なら、この組み合わせは「ゲーンソム」ですが、ゲーンソム(酸っぱいゲーン)にせず、
ココナツミルク入りのゲーンデーン(レッドカレー)にした。通常、カノムチンにはゆで野菜を用意しますが、
大根やズッキーニ―をカレーとともに煮込み、焼き茄子1本分を添える…。要するに手抜きしたってわけです(笑)。
でも、手をかけたところもあるんです。それはスープです。魚のゲーンを作るとき、魚を茹でてスパイスと一緒に潰す。
ペーストの一部にし、スープに溶かし込むことで味が全然違ってくるのです。
ただの魚入りのレッドカレーか、魚の出汁がきいたレッドカレーか…。
屋台みたいにぶっかけにせず、きれいに盛りつけると、お洒落料理にも見え、ソーグッド(So Good)♪
猛暑でも、つるっと食べれる夏のそうめん。こんなアレンジもありですねぇ♪

# by parisbkk | 2016-07-21 04:42 | 屋台の味
日本に和風パスタがあるように、バンコクにはタイ風パスタの店があります。
そこで食べた「スパゲッティ・キーマオ」。これが癖になる美味しさで、たまに作るようになった。
タイ料理に「パッ・キーマオ」という焼きそばがありますが、そのスパゲティ版です。
タイ風パスタ / スパゲッティ・キーマオ_f0363883_05044216.jpg
「キーマオ」とはタイ語で「よっぱらい」のこと。お酒でへべれけになった人をタイではキーマオと呼びますが、
パッ・キーマオ(酔っ払い炒め)という名の焼きそばも、実に妙といえば妙。アルコールは全然使わないのに、
「なぜに酔っ払い炒め???」かを説明しますと、酔っぱらいの酔いが一気に覚めるような激辛味なのです。
赤、黄、緑…と、色とりどりの唐辛子がふんだんに使われ、見た目もきれいで、俄然食欲がそそられますが、
火を噴く辛さでくらくら。それが「パッ・キーマオ」という料理なのです。

キーマオソースの基本は、唐辛子+オイスターソース+ナムプラー。
味にアクセントをつけるのは、ニンニクとグラチャイ(チャイニーズキー*)、仕上げに入れる生バジル。
なんとも風味豊かなソースです。豚や鶏肉の細切れ(もしくはひき肉)のほか、豪華版には海鮮も入り、
パーッと目が覚める美味しさ(辛さ)♪ 焼きそばでも美味しのですが、最初にスパゲティを作った人は偉大だと思う。
なんで、この料理が本場のイタリアにないの???ってなくらい美味しい。
頭のなかで材料を組み立ててみてください。ニンニクにしろ、唐辛子にしろ、バジルにしろ、イタリア料理に欠かせない
食材ですが、それにアジアのうま味が加わって、新鮮味のある美味しさにグレードアップ♪
日本人に大人気のガパオガイ(鶏肉のバジル炒め)もニンニク、オイスターソース、ナムプラー、バジルを使い、
味付けはちょっと似ておりますが、唐辛子とグラチャイの隠し味が利いたキーマオはぴりっと大人の辛さ。
タイ料理に慣れた人、上級者向けのメニューかも!

ちなみにガパオガイもタイ風パスタの定番メニュー。
いつものガパオのごはんをパスタに変えるだけで、雰囲気もまったく変わり、新鮮な料理に感じられるから不思議。
伝統タイ料理の味付けですが、スパゲティになると全く違う料理みたい。パスタのアレンジでレパートリー倍増v。

# by parisbkk | 2016-07-19 05:08 | アレンジ・タイ料理

Accras Thailandais 

「Accras」というのはフランスの島料理で「魚のすりみの天ぷら」。
すり身にした白身魚と野菜を混ぜあわせ、一口大のボールに丸めて揚げたものです。
私が南仏でレストランをやっていた頃、“さつま揚げ”をお出したとき、お客さんに言われたのです。
「日本にもAccrasがあるのね⁉」 通常天ぷらはBeignetと言いますが、さつま揚げみたいなすり身の
天ぷらはAccrasと呼べば、フランス人にはわかりやすいのだと介しました。
フランスの海外県、カリブ海に浮かぶマルチニーク諸島のお料理だから、本土の料理とは随分違うけど、
Accrasはれっきとしたフランス料理の一つ。

で、本日の話は、Accras Thailandaisです。タイにも「トートマンプラー」と呼ばれるAccrasがある。
魚(白身魚か、鯵などの青魚を使う)をすり身にし、トアプー(四角豆。ない場合はインゲン)などの
野菜、レッドカレーペーストで味付けしてから揚げます。作り方は日本のさつま揚げと同じだから、
日本では「タイ風さつま揚げ」と呼ばれます。
Accras Thailandais _f0363883_17565433.jpg
日本人には、とかく九州出身者には、さつま揚げは懐かしい味、九州の郷土料理でもある。
私は子供の頃、おやつ代わりにさつま揚げを食べ、さつま揚げで育った…と断言できるほど、よく食べたけど、
さつま揚げは薩摩で生まれた料理ではなく、中国から来た料理。
オリジナルは中国福建省にあり、江戸時代末期(1860年頃)に薩摩藩の28代藩主・島津斉彬公が中国福建省から
沖縄経由で持ち込んだとされています。
鎖国をしていた江戸時代、日本は海外との接点をほとんど持っていませんでしたが、例外もある。九州の藩主たちです。
九州の大名は秀吉時代の朝鮮出兵に協力し、朝鮮から多数の陶工たちを連れて帰って来たおかげで九州は焼き物が
盛んです。世界に名高い有田、伊万里、薩摩のほかにも、有名な窯が各地に多数。
焼き物で最初に大成功したのは薩摩藩でした。島津の殿様は芸術活動に力を入れ、朝鮮から拉致してきた陶工たちが
日本の民から人種差別を受けることないように武士の称号を与え、武家屋敷に住まわせて作品作りに専念させました。
藩の篤い庇護の元、薩摩焼から数々の芸術品が生み出されます。
それらを海外へ輸出した島津藩は焼き物貿易で大成功をおさめ、日本の最果ての一藩であるにも関わらず、
一国として成り立つ財力と権力を持つようになる。それを見た鍋島藩も、薩摩藩に続けと、それまで以上に焼き物の
海外貿易に尽力し、有田・伊万里は欧米人好みの絵付けや色彩、多数の洋食器を作るようになり、世界的なニーズと
知名度を上げ、世界の人気ブランドと成長してゆきます。
薩摩藩、鍋島藩の大名は世界的にも一目され、欧米で開催されるインターナショナル・エクスポにも招待されます。
鎖国中の日本のブースはないのに、中国、インドシナと肩を並べて、薩摩や鍋島のブースを設けて展示を行っていたのは、
なんとも愉快でなりません。世界をまたにかけて活躍する地方大名の力を恐れ、幕末の混乱が起こるわけですが、
余談はここまで(笑)。
島津斉彬公の視野は世界に広く開かれ、中国福建省と沖縄との交流も深かった。
福建省から沖縄経由でさつま揚げを持ちかえり、さつま揚げとして郷土料理にしてしまったわけです。

中国福建省は東南アジアとの貿易に力を入れていたらしく、東南アジアには福建省出身の華僑も多い。
タイ、マレーシア、シンガポールでポピュラーな「海南飯」も福建省の料理。タイでいうところの「カオマンガイ」です。
カオマンガイが各地で味を微妙に変えて存在するように、福建省生まれの魚のすり身の天ぷらもタイ風に進化して、
レッドカレー味のさつま揚げになった・・・。そう考えるのは普通なことでしょう???
福建省出身者の華僑がマルティニークまで進出し、Accrasの基を伝授したかは不明ですが(笑)、
海を越え、一つの料理がいろんな形への進化し、現地の料理へと土着化していく。食文化進化論。
たかだか、さつま揚げ。でも、さつま揚げの味は思ってる以上に奥深い。

# by parisbkk | 2016-07-16 18:25 | タイ料理

マリアンヌの昼食

7月14日はフランスの祝日。
日本人には「パリ祭」の名で知られるように、パリでは朝から国をあげてのお祭りモードです。
午前中はシャンゼリゼ通でのフランスの陸・空・海軍が一斉にそろっての大軍事行進パレード、航空ショー(赤・白・青の
トリコロールカラーを描く)に始まり、夜はエッフェル塔に花火も上がります。一日イベントが盛りだくさん。

最近まで私は7月14日を「フランス革命記念日」だと思っていましたが、それは正しい理解ではありませんでした。
1789年、民衆がバスチーユを襲撃・占領し、フランス革命が勃発しましたが、「パリ祭」は革命を記念する日ではなく、
その翌年に開催された「連盟祭」を記念する日だとか。1790年7月14日にルイ16世がフランス憲法への忠誠を誓い、
フランス共和国として生まれ変わります。フランス革命でなく、フランス建国のお祝い。
要するにマリアンヌ(フランスを指す名称)の誕生日ってわけなのですね。

今日は旦那さんの会社もお休みなので在宅中。お昼からワインを開けている。キリリと冷えたロゼ。
フランスでは「ロゼは夏のワイン」と言われ、夏はビール代わりに冷えたロゼ。私には南仏にいたころからの習慣。
今日はマリアンヌにちなんで、フランスチックなお惣菜「レンズ豆とソーセージの煮込み」。
私がフランス惣菜を作るなんて、本当に珍しいことです。年に数回あるかないか。だから、後で雨が降るかも(笑)。
マリアンヌの昼食_f0363883_23180117.jpg
7月14日の特番(テレビ)。午前中は華やかなデフィレ(行進)でしたが、午後は「テロ発生時に軍隊が
国民をどのように救出するか」というデモンストレーションが続いてる。昨年まではなかった内容。
ユーロ2016の開催前にも「テロ対策」のプロモーションばかりやってたけど、祭り気分にわく日こそテロ注意。
まったくもって今(時代)を感じる建国記念日です。

# by parisbkk | 2016-07-14 23:29 | 学ぶ・生活
ジャングルカレーの記事に書いた「チャイニーズキー(Chinese key)」を知らない方が多いようなので、
改めて食材紹介いたします。日本語では英語名の「チャイニーズキー」もしくは「大葉ガジュツ」と呼ばれております。
タイ語では「グラチャーイ」。タイ料理によく使う生姜の一種で、中国では「泰国沙姜」という名もある。
というのも、チャーニーズキーの産地は、広い中国のなかでも雲南省南部に限られており、つまり泰族の食材ってわけ。
タイ料理のルーツは雲南省南部の泰族の料理でもあり、中国から泰族が南下するとともに伝来したのでしょうね。
チャイニーズキー(グラチャーイ)_f0363883_18584069.jpg
指みたいな細い根がたくさん出ているので、フィンガールート(Finger Root)と呼ぶ人もいるようで、
私が持ってる英語のタイ語レシピには、チャイニーズキーではなく、フィンガールートと記載されているレシピもある。
独特の香りと味があり、主には魚や肉の匂い消し、薬膳料理の材料などにも使われてますが、
タイでは特別な食材というわけでもなく、ジャングルカレーはむろん、カノムチン、ガイトート(タイ式から揚げ)の
トッピングに使われたりなど、いろんな料理にグラチヤーイがアクセントをつけてます。

体にいい食材ということでも知られており、一般的には「ポリフェノールを多く含み、抗酸化作用があって、
抗ガン作用がある」と言われてます。グラチャーイを使った健康サプリメントもあるほどです。
私のタイ料理の先生は「グラチャーイを食べると美人になるから、女性はたくさん食べたほうがいいです」と言ってました。
抗酸化作用で美容にいいほかに、お通じ、婦人科のプロブレムを解消する食事療法に使われているらしく、
それが理由かどうかは知りませんが、グラチヤーイを使った料理は女性にも人気です。
本当に美人になるかは不明ですが、私はグラチヤーイを使った料理が大好き。たくさん食べて、
出来るものなら、美しくなりたいものです。
そういうわけで今日の昼食は「プラチャープラガオ」(白身魚のピリ辛炒め)。グラチャーイを使ったレシピの一つです。
チャイニーズキー(グラチャーイ)_f0363883_18593362.jpg

# by parisbkk | 2016-07-14 03:31 | 食材

タイ料理/アジア料理講師、フードクリエーションを手掛けるmotokoの徒然パリ日記。料理の話がメインですが、乳ガン治療中ゆえ、たまにフランスでの治療のお話も。


by motoko
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