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マンモグラフィとエクスプレス・サン

 フランスでは7人に1人の女性が乳ガンを発症しているとか。
日本では12人に1人とか、11人に1人とか言われているので、日本と比べるとかなり多いことになる。
 乳ガンの原因の一つに「食生活の欧米化」があげられているので、フランスに多いのは「やっぱり食事のせい???」と思ったりしますが、我が身を顧みると、「私の食事が欧米化していた」とは思えない。
 我が家の食事は、日本とタイを中心としたアジア飯が中心です。肉よりも魚や野菜を好み、パンはほとんど食べず、白いご飯、玄米や雑穀米もよく炊きます。食品はできる限りBIOを選び、輸入野菜を使うときは「これでもかぁー」ってまで洗う。ヨーグルト以外の乳製品もほとんど食べません。チーズは美味しいと思うけど、カロリーが高いからカロリーをセーブする意味で控えています。甘いもの(デザート)も食べません。ワインは飲むけど、ポリフェノールたっぷりの赤ワインを好んで飲みます…。
 健康にはそれなりに気づかっていたし、食生活が私の病気を招いたとは、あんまり思えないのです。

 私が思うに、フランスでは乳ガン検診者が多いから乳ガンが見つかりやすいのかなぁ…です。
 乳ガンの早期発見を目的に、多くの先進諸国では乳ガン適齢期(主に40代以降)の女性に定期健診を薦めてる。フランスでは乳ガン検診は非常にポピュラーで、検診率は75.4%(2010年データ)。アメリカに次いぎ、世界で2番目に乳ガン検診率が高い国となっている。でも、同年の日本における検診率は36.4%。これは乳ガン検診を推奨している30カ国中の最低レベルだとか…。フランスでは4人中3人が受けてる検査を、日本では3人に1人しか受けてない。
検査を受ける人が少ないから検査で見つかる人も少ない。こういうロジックはあてはまりますが、定期健診による早期発見のチャンスを逃せば、ガンの発見が遅くなり、知らぬうちに進行させているケースもあり、乳ガン適齢期に至った方々は定期検診を受けることは大事なように思うのです。ちなみに日本が推奨している定期健診は毎年でなく、2年に1回です。

 私のガンが見つかったのも定期健診を受けたからでした。
私は6年前に子宮筋腫で入院しましたが、その折受けたマンモグラフィで右乳房にも小さな筋腫があることが発覚し、
以来、定期的にコントロールを受けるようになっていました。乳房の筋腫は非常に小さく、大きく成長することも、動くこともなく存在しつづけ、無害(ガンなどの悪性腫ではない)である結論に至ったのが2年前。
今後は通常の2年に1回の定期健診でよい…となって、今回2年ぶりに検査を受けたのですが、その検査でひっかかった。
ずっとコントロールしていた右乳房の筋腫は相変わらず、何の変動もありませんでしたが、左の乳房に新しく、かなり大きい影が存在していたのです。エコグラフィで測定すると、その塊は4㎝ほど。2年前には存在してなかったシコリです。
 乳がんの場合、進行はゆるやかで、急にがつんと悪くなる…というのは稀なんだとか。2年前にはなかっただけに、2年以内に出来て、ここまで大きくなっている…ってことに注目したラボラトリーの先生は、
「右胸の筋腫同様、良性かもしれないけど、組織を調べたほうがいいね」と針刺し検診を勧めたのです。

 パリではかかりつけの婦人科医がいないので、まず、主治医に相談し、近所のジネコログ(婦人科)の先生を紹介してもらいました。その先生のところで検査してくれるものだと思っていましたが、その先生は持参したマンモグラフィ、エコグラフィの検査結果を眺め、触診をしたところで、「15区のポンピドー病院でエクスプレス・サンのランデブーを取りなさい」と指示を出されました。
 「エクスプレス(急ぎ)・サン(乳房)」とは、その名の通り、乳ガンの疑いが高く、検査を急がねば受けねばならない人の検査窓口。マンモグラフィでシコリが見つかったとて必ずしもガンであるとは限らないので、病気を分析するために幾つかの検査を受けねばなりません。街中のラボラトリーでは設備的問題から一か所で検査を受けることができず、数か所のラボラトリーをかけもちで検査するはめになったり、予約がなかなか取れず、検査が思うように進まないということもあります。でも、エクスプレス・サンの乳ガン検査は一か所で全ての検査を受けることができ、救急対応で処理してくれるので、結果が出るまでの時間は最短。検査がなかなか進まず、進行性ガンを悪化させてしまうというリスクが減ります。
 私が18区のジネコに会ったのは土曜日の夕方でしたが、週明けの月曜日の朝一番にポンピドー病院に電話し、翌々日(水曜日)のランデブーが取れました。
 水曜日、担当ドクター(執刀医)との面談の後、ラジオログ(放射線科)の先生のところへ。先生からその日受ける検査の説明を受け、さっそく検査開始。まず、針刺し検診です。マンモトームを使った検査でした。マンモトームはピストル式の針検診でガン細胞を瞬時に針が接種してくれます。パーンという打ち付ける音がしますが、部分麻酔をしてるので痛みは感じません。3か所接種しました。それからPET検査を受けました。PETは「Positron Emission Tomography」を略したもので、微量の放射線を放つ物質、ポジトロン(陽電子)を利用しながら、体を特殊なカメラで撮影して、がん細胞の有無や大きさ、病状を診断する検査法です。まず、注射で体内に薬を注入し、マンモグラフィ形式の検査機で乳房内に広がる細胞を撮影しました。その結果を再確認するようにエコグラフィの再検査。
 その日は二つの検査を受けて帰宅。翌々日の金曜日にはMRIの検査を受けました。
 針刺し生検の結果が出るのに1週間かかるそうで、翌週木曜日に自宅に検査結果が送られてきました。専門用語で書かれているから、その意味はいまいち理解できなかったのですが、なんとなく読んだところで嫌な感じ(苦笑)。
 その翌日、金曜日に医者とのランデブーで病院に行くと、すでに入院・手術の日程が調整されておりました。検査から入院まで2週間という早業です。救急のエクスプレス・サンならではの迅速さ!

 こうした検査を日本で受けると、かなりの医療費がかかります。
 PET検査は日本で受けると1回10万円以上かかるようです(驚)が、私は持ち出しがありませんでした。
これらの検査、全部ミチュエルでカバーできるのだそうで、初回のランデブーから今に至るまで医療費を払ってないのです。
 幸か不幸かガンと診断されたので、100%医療費無料の対象となりまして、入院・手術も無料です。
個室の差額ベッド代1日の差額48ユーロがかかりますが、これも、私が入ってるミチュエルでほぼ全額カバーされました。
 医療費の心配をせずに治療ができるなんて、本当にラッキー!
病気になったら、急にフランスに住んでてよかったなと思う! 
マンモグラフィとエクスプレス・サン_f0363883_04565667.jpg
写真は病院からシトロエン公園の気球を見上げたところ。退院の日の1枚でした。


by parisbkk | 2017-03-23 05:11 | 治療

タイ料理/アジア料理講師、フードクリエーションを手掛けるmotokoの徒然パリ日記。料理の話がメインですが、乳ガン治療中ゆえ、たまにフランスでの治療のお話も。


by motoko
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