パッタイが誕生する前から庶民に愛されてきたタイの味。
パッシーユー(醤油炒め)という名からも想像がつきますが、味付けはお醤油が決め手です。
麺に「黒醤油」で下味をつけ、焼きそばソースは「白醤油+オイスターソース+ナムプラー」の組み合わせ。
それゆえ、醤油だけののっぺりした味の焼きそばとも、日本の醤油味の焼きそばとも違い、やっぱりタイ風というか、タイ中華風。
麺が黒くなってるので、しっかりした醤油味かと思われますが、それほど濃くもなく塩辛くもない。
「黒醤油」は「中国のたまり醤油/老抽」のこと。ほんの少し(2人分で小さじ1程度)麺に絡めて焼くだけで美しい醤油色と香り、
風味が加わるので、美食で有名な香港、シンガポールでは料理に欠かせない万能調味料と言われてます。
日本のたまり醤油とは全くの別物で、ねばりがあり、甘くこってしている。なぜなら、黒醤油にはカラメルが混ざり、
すでにシーズニングソースみたいに味がついているからです。黒醤油を使えば、香港人が好みの香港中華も簡単に作れますが、
タイ華僑にはタイ風のアレンジ。お酢や唐辛子をまぜ、自分の好みにしていただくわけで、酢と唐辛子が入ると一気にタイ風に。
醤油味が染み込んだ、もちもち麺を味わう料理なので、使用する麺は太目のセンヤイに限ります。
個人的には「パッシーユーの麺は太ければ太いほど美味しい」と思っていますが、そういう人が多いのか、
タイでは麺でなく米粉の塊を適当な太さに切ってパッシーユーに使ってる店も多い。
センヤイの太さは1~2センチと幅広く、こだわる人は、ミリ単位こだわって、その太さで論争が起きるほど(笑)。
とことん追求できる食材ですが、私はそこまでのこだわりはなし。パリでも半生センヤイが売ってるので、それを使うくらいです。
黒醤油も大手アジア食材店で購入可。私は李錦記の「特級老抽」を使っております。